◯
土曜日。私は朝からクローゼットの服を引っ張りだして悩んでいた。
「何着てけばいいんだろう……」
昨日の夜準備しておけばよかったと後悔する。
聖に相談したいけれど、いつも通り朝から部屋にいないみたいで途方に暮れる。
中学のときにお気に入りだった水色のワンピースは、身長はほとんど変わっていないはずなのになぜか小さくなっていた。ほかにはTシャツとかジーンズとか、ラフに着られる服しか持っていない。
「制服でいいんじゃない?」
お母さんに相談すると、あっさり答えが返ってきた。
「制服?休みなのに変じゃない?」
「変じゃないわよ。学生にとっては制服が正装でしょ」
「でも私が演奏するわけじゃないし……」
「いいのよ、細かいことは気にしなくて。お友達の大事な舞台なんだから、ちゃんとして何が悪いの」
お母さんのはっきりした物言いに、たしかにそうだと思う。
私はぼんやりしているくせに、いつもあれこれ小さなことで悩んでしまう。
そうだ、細かいことは気にしない。今日は美咲を、全力で応援する気持ちで行くんだから。
土曜日。私は朝からクローゼットの服を引っ張りだして悩んでいた。
「何着てけばいいんだろう……」
昨日の夜準備しておけばよかったと後悔する。
聖に相談したいけれど、いつも通り朝から部屋にいないみたいで途方に暮れる。
中学のときにお気に入りだった水色のワンピースは、身長はほとんど変わっていないはずなのになぜか小さくなっていた。ほかにはTシャツとかジーンズとか、ラフに着られる服しか持っていない。
「制服でいいんじゃない?」
お母さんに相談すると、あっさり答えが返ってきた。
「制服?休みなのに変じゃない?」
「変じゃないわよ。学生にとっては制服が正装でしょ」
「でも私が演奏するわけじゃないし……」
「いいのよ、細かいことは気にしなくて。お友達の大事な舞台なんだから、ちゃんとして何が悪いの」
お母さんのはっきりした物言いに、たしかにそうだと思う。
私はぼんやりしているくせに、いつもあれこれ小さなことで悩んでしまう。
そうだ、細かいことは気にしない。今日は美咲を、全力で応援する気持ちで行くんだから。