月曜日の朝は、いつもよりすこしだけ早く学校に着いた。
教室にいる生徒はまだまばらだった。席についてぼうっとしていると、美咲が入ってきた。美里は自分の席ではなく、まっすぐにこっちに向かってきた。
「おはよう、光里」
「おはよ……」
いつもと違う、ぎこちない表情の美咲。きっと今、私も同じような顔をしていると思う。
「あのさ、昨日のーー」
「あ、そういえば職員室に用事あるんだった」
「えっ、あ、そう」
いってらっしゃい、と美咲に見送られて教室を出た。
なんてわかりやすい避け方……我ながら情けなくなる。たったひとりの友達にも、本音を話せないなんて。
言えなかった。
ずっと美咲に嘘をついていたことが、後ろめたくて。
『光里って鮫島くんと同中だよね?話したこととかないの?』
前に美咲に訊かれたとき、私ははぐらかしてしまった。
『家は近いけど、ほとんど話したことないよ』
どうしてそのとき名前が出たのが、守屋くんじゃなく陽太だけだったのかはわからない。でも、美咲には見透かされている気がした。後ろめたさを感じながら、でも、言えなかった。
誰かに言ったら、それが広まったら、またあのときと同じことが起こる気がして。
私は結局、たったひとりの親友でさえ、信じていなかったんだ。
教室にいる生徒はまだまばらだった。席についてぼうっとしていると、美咲が入ってきた。美里は自分の席ではなく、まっすぐにこっちに向かってきた。
「おはよう、光里」
「おはよ……」
いつもと違う、ぎこちない表情の美咲。きっと今、私も同じような顔をしていると思う。
「あのさ、昨日のーー」
「あ、そういえば職員室に用事あるんだった」
「えっ、あ、そう」
いってらっしゃい、と美咲に見送られて教室を出た。
なんてわかりやすい避け方……我ながら情けなくなる。たったひとりの友達にも、本音を話せないなんて。
言えなかった。
ずっと美咲に嘘をついていたことが、後ろめたくて。
『光里って鮫島くんと同中だよね?話したこととかないの?』
前に美咲に訊かれたとき、私ははぐらかしてしまった。
『家は近いけど、ほとんど話したことないよ』
どうしてそのとき名前が出たのが、守屋くんじゃなく陽太だけだったのかはわからない。でも、美咲には見透かされている気がした。後ろめたさを感じながら、でも、言えなかった。
誰かに言ったら、それが広まったら、またあのときと同じことが起こる気がして。
私は結局、たったひとりの親友でさえ、信じていなかったんだ。