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ーーねえ。君にどうしても伝えたいことがある。

幸せな恋の歌。

ーーもう二度と届くことのない、この思い。

切ない失恋の歌。

１枚のCDに入っている２つの曲は、全然違う歌だと思っていたけれど、違うのかもしれない。
どちらの歌にも、『伝えたいことがある』という歌詞が入っている。
１人の女の子が、誰かを好きになり、やがてその人を失い、泣いている。そんなひとつづきの物語が、ここにはある気がした。

『ただの幼なじみだから』

紘太の言葉にショックを受けて逃げ帰った日。
卒業式の前の、あの出来事。
そして、卒業式の後、初めてのケンカ。

『陽太といると辛い。ロクなことがない。もう話しかけないで！』

今思い返してみても、最低だ。大好きな相手に、そんなことを言ってしまうなんて。
終わりのない後悔は、切ない歌とともに頭の中を廻り続ける。
心がこもった歌は、人の心にそっと寄り添ってくれる。だけど苦しいときは、聴けば聴くほど、苦しさも増していく。思いは大きくなるばかりで、決して消えてはくれない。
この気持ちを早く消してしまいたいのに、忘れないように繰り返し歌を聴く。
矛盾だらけだ。どうしたいのか、自分の気持ちがいちばんわからない。