夏の光りが屋上に降り注ぎ、白く照らす。雲のない青空がどこまでも続いている。
「あー、明日から部活かあー」
連休が明けたら、また陽太は部活の毎日だ。私は荷造りや英語の勉強で忙しい。
「頑張ってね。たまには応援しに行くよ」
「たまにかよ」
「いいじゃん。かわいいマネージャーさんがいるんだから」
「なんだ、ヤキモチか」
「そうだよ。悪い?」
「全然」
陽太はそう言って、キスをした。
手の中のアイスの棒が、コロリと転がる。
「ふ、ふいうち」
「悪い?」
ニヤリと笑う陽太。
「……悪くない」
顔を熱くしながらつぶやくと、陽太が笑った。
陽太が笑うと、太陽の光が注ぐように、その場が明るくなる。その笑顔を、隣でずっと見ていたくなる。
1年半の空白を埋めるように、私たちはいろいろな場所に行って、いろいろなことをした。
夏祭りに行って、花火をして、アイスを食べて、音楽を聴いた。サッカーの試合を見に行って、かわいいマネージャーにほんの少しヤキモチを焼いて、その後、初めてのキスをした。
勇気を出してよかった。あのとき一歩踏み出していなかれば、今、この時間はなかった。
「毎日電話するからな」
「電話嫌いなんじゃなかったっけ?」
「テレビ電話なら問題なし。それに、嫌いとか言ってられないし」
うん、と私はうなずいた。毎日電話するよ。
話したいこと、伝えたい気持ちが、たくさんあるんだ。
隣にいられなくても、ずっと遠くには離れてもーーきっと、もう大丈夫。

「ねえ、陽太」
「ん?」
「大好き」

これから何度でも、そう伝えるって決めたから。