あぁっ、そうか。
変身した彼に会うのは初めてなのか。
マルサの話が衝撃的で、すっかり頭から飛んでいた。
「十文字くん、だよね」
「はい。すみません……」
注目されていることに気づいた彼は、なぜか謝り顔を手で覆う。
やはり性格までは変えられないか。
「デート、したのね?」
「真由子、声が大きい」
私は慌てて彼女の口を押さえた。
「ち、違うから。十文字くんのイメチェンを手伝っただけだから」
周囲の人たちの注目を浴びてしまい、必死に言い訳をする。
しかしざわつきは収まらない。
そりゃあそうだ。
あのイケてない十文字くんが、イケメンに変身しているのだから。
こんなにざわつくのだから、メガネはしておいて正解だった。
なければ、女子社員からもっと大きな黄色い悲鳴が上がっているはずだ。
そうしたら、恥ずかしがり屋の彼は逃げ出すかもしれない。
「想像をかなり上回ってきた。いいよ、いい!」
真由子も大興奮。