「み、見ないでください」
「ごめん」


得意じゃないと言われたばかりなのに、しまった。


「ちょーっと、取ってみない?」


道路で立ち止まってなにをしているんだか。
でも、外した姿が気になって仕方ない。


「み、見ないでくださいよ?」


「わかった」と言いつつ、もちろん見るけど。

十文字くんはフレームに手をかけて、メガネを取り去った。

嘘……。
ゴクンとつばを飲み込む。


今までフレームばかりに気を取られていたからか、彼が黒目がちでどことなく色っぽい目を持っているとは知らなかった。

毎日一緒にいるのに、私としたことが……。

スーツは脱いでしまったが、これであのスーツを身に着けたら、世の女性は放っておかないだろう。

ただ、弱気な発言は好感度が下がるので、口は閉じておくのが絶対条件だけど。


「あー、やっぱりメガネはそのままにしよう」
「ないと変ですよね……」