「難しいことを考える前に行動よ! ここで座ってたって契約は取れないの。一度や二度断られてもへこたれない。何度でもアタックするのみ」


いつも腰が引け気味の彼に発破をかけるつもりで言う。

営業をかけたってそのほとんどが失敗に終わるのだから、私だってへこむ。

しかし、行動しなければ成功も手にできないのだから、アグレッシブに攻めるしかない。


「はい」


いつも通りどよーんとした返事をよこした十文字くんは、私が差し出したパンフレットをカバンに詰め始めた。


「行ってきます」


私は彼を引き連れて会社を飛び出し車に乗り込んだ。
サンプルやパンフレットが大量にあるため、車でないと不便なのだ。


「串さとに行く前にフォローアップに回ろうか」


居酒屋は午後からしか人がいないことも多い。
まずは先月新作の炭酸飲料を採用してくれた小売店に向かうことにした。