そして最後にそう付け足した。
細部はともかく、それが一番。
年齢相応のさわやかさが欲しい。
「承知しました。途中で気になることがあれば言ってくださいね」
「無理です……」
十文字くんは眉をハの字に曲げているが、もうあとはお任せで大丈夫だから。
「あはっ。美容師さん、お任せします」
「わかりました」
もしも私たちがカップルに見えているとしたら、完全に尻に敷いていると思われているよね、これ。
私はグイグイ引っ張ってくれる人が好みなんだけどな。
それからは受付近くの待合スペースでファッション雑誌を片手にくつろいでいた。
しかし、しばらくするとあの絣の着物を着た男の子がまた姿を現し、今日は右脚にまとわりついてくる。
いい加減にしてよ……。
私は周囲の人に怪しまれない程度に脚を振ったり雑誌で突っついたりしたが、まったく離れる気配がない。
いったいこのもののけたちは私になにをしたいのだろう。
姿を現してはまとわりついて気持ち悪いことこの上ない。