無視して歩いていたが、男の子は私の肩にドンと乗ってきた。
なにがしたいの?
軽く肩を揺らしたけれど、しがみついて離れてくれない。
仕方なく手で払ったが同じ。なかなかしつこい。
しかし、十文字くんが隣にいるのでうかつに声は出せない。
見えない彼には、おかしな人だと思われてしまう。
どうしたら……。
なぜか男の子はどんどん重くなってきて、歩みを進めるのもつらくなってきた。
「十文字くん、先に車に行ってて」
私はとりあえず彼から離れようとした。
「どうしてですか?」
「あー、えーっと」
言い訳を考えていると、彼が突然私の肩に触れる。
すると、あんなに頑固にしがみついていたもののけがふっと姿を消したので仰天だ。
「ゴミがついてました」
「あ、ありがとう」
ゴミって男の子、なわけないよね。
彼に見えているとは思えないし。
とにかく、助かった。
「やっぱりいいや。行こうか」
「はい」
私はにこにこ笑う彼とともに車に向かった。