ひねった右足首に触れながら彼が手にした瓶を見て、損をした気分になった。
でも、ガイアが悪いわけでもないし。
すぐに戻った十文字くんは、しゃがみこみ私の足首に触れてくる。
「痛いですか?」
「あぁぁ、本当に大丈夫!」
彼に邪な考えがないのはわかっているが、いきなり女性の脚に触れたりしたらまずいでしょ?
私じゃなかったら、警察呼ばれるかもしれないよ?
親切心があだとなる社会もどうかと思うけど。
幸い少しひねっただけのようだ。問題なく歩けそうでホッとした。
「心配してくれてありがとう。平気そうだから、営業頑張ろう」
いきなり脚に触れてきたのは彼の純粋さゆえだろう。
そう感じた私は、お礼を口にして笑顔を作った。
一応納得した様子の十文字くんと一緒にバックヤードの奥に行くと、商品の発注作業をしていた山本さんを見つけた。
「頑張れ」
私は小声で十文字くんに話しかけて背中を押す。
「や、山本さん」
「はい」
「えぇーっと……」