まさか『大好き』と返ってくるとは。
自分に向いていないとは思わないのだろうか。
だってしゃべるの苦手そうだし。
「内勤のほうが好きかなーと思ってたんだけど」
「篠崎さんが一緒ならどこでもいいです」
どういうこと? なつかれちゃった感じ?
とりあえず、毎日のようにお小言を漏らしているのに嫌われているわけではなさそうだ。
「あはっ、それじゃあアピール頑張ろうか」
「わかり、ました」
あからさまに意気消沈したけど、平気かしら?
十文字くんだけでなく私まで緊張してきた。
バックヤードに戻る途中、転がっていたビール瓶につまずき足をひねってしまった。
「痛たた……」
「大丈夫ですか?」
スニーカーなら無事に着地できたはずなのに、ヒールというものは厄介だ。
「大丈夫。瓶、片付けてくれる?」
どうやら近くにある回収ボックスから転がってきたようだったので、十文字くんに頼んだ。
ガイアの瓶じゃない……。