案の定、カエルはピョンと跳ねて私に跳びつこうとするので、手で叩く。

うわっ、ぬるぬるしてる。
最悪だ……。

内心嫌悪感を覚えながらも、なんでもない顔をしてもう一度足を前に進める。
しかし今日はしつこい。もう一度跳びかかってきた。


「なんなの?」


なんの恨みがあるの? 
私はごく普通に生活しているだけでしょ? 
もののけに迷惑をかけた?

再び手で払うと、一旦離れたカエルは目をキョロキョロと動かしたあと、今度は長い舌を私の首めがけて伸ばしてきた。


「んっ」


抵抗する間もなく首に巻きついたそれは、すさまじい力で私を引っ張り、道路に叩きつけた。

こんなことをされたのは初めてで、パニックに陥る。

なにこれ……。誰か……。誰か助けて!

声が出せず心の中で懇願するも、人気はなく気づかれることもない。

カエルの姿は見えなくても、道の真ん中でもがく私に気づいてくれる人がいてもおかしくはないのに。

周囲に人影がないことがわかっていて襲ってきたとしか思えない。