後半が本音だ。
「串さとね……。評判よかったのに、女に足下すくわれるとは」
「自業自得よ」
そこに店員が料理を持ってきたので口を閉ざす。
私たちが飲料メーカーの人間だということは、来店しにくくなるので秘密だ。
真由子はスマホを操作して、SNSを調べ始めた。
「キスしてる写真まで載ってる。これが結婚相手じゃなかったら完全にアウトね」
「それ、結婚相手じゃないみたいよ。結婚するなんて聞いてないってキレてるもん」
「ほんとだ」
さらに確認した真由子は、あきれ顔でスマホをテーブルに置いた。
「それにしても、十文字くんが助けるなんて想像できないんだけど」
海老ときのこのアヒージョを口に運ぶ真由子が、しきりに感心している。
「そうなのよ。なんか、別人みたいでびっくりしたの。『汚い手で彼女に触れるな』って啖呵切ってさ」
「え!」