「はぁ……」

「えっと……。今日は会社に帰りましょう。スーパーまるはの棚についても決めないと。レシピも依頼しないといけないし」

「わかりました」


あんなことがあって冷静さを欠いていると自分で感じた私は、その後の新規開拓の予定を変更して帰社することにした。



「お疲れさまでした」


十八時を過ぎた頃、続々と社員が帰宅していく。


「十文字くんも今日はもういいよ。やっぱり棚に関するセンスは抜群だね」


彼に陳列案をイラストで起こしてもらったら、なかなかいい感じに仕上がった。

この調子で自分のデスク周りも片付ければいいのにそうもいかないらしく、今日も書類が雪崩を起こしていた。


「ありがとうございます。それではお先に」

「あっ、明日は早めに出社してよ。それと、病院もちゃんと考えて」

「わかりました。お疲れさまでした」


私を助けてくれたときとはまるで別人のぼそぼそと話す十文字くんは、丁寧に頭を下げてから帰っていった。