あぁ、やっぱり。
十文字くんを締め出したときからおかしいと思っていたのよね。
予想通りの展開になりため息が出そうになる。
彼氏はずっといないけど、私はそんなに安い女じゃないのよ!
どうしたら機嫌を損ねずに断れる?
「ありがとうございます。彼氏はいませんが、好きな人はいるんです。ごめんなさい」
差し障りのなさそうな答えを選び、あいまいな笑みを浮かべて答える。
「そう、それは残念だ」
よかった。あきらめてくれた!
「それで、こちらのレモンサワーなんですがアルコール度数……キャッ」
話を元に戻そうとしたのに、なぜか腰を抱かれて体をのけぞらせる。
「それじゃあ、付き合わなくていいよ。篠崎さん、俺のタイプなんだよね。なにが言いたいかわかるだろ?」
わかるけど、わかりたくない。
「いえ……」
「ちょっと試してみる?」
「はっ? やめてください」