それを聞き、心の中でガッツポーズ。
相変わらず十文字くんはだんまりを決め込んでいるものの、今は構っている余裕がない。
「担当は、篠崎さんが?」
「はい。私と十文字で担当させていただければと思っています」
十文字くんにチラッと視線を送ったが、にこりともせず直立不動。
営業なんだから作り笑いくらい覚えてほしい。
でも、意外にもとんとん拍子じゃない?
「そう……」
中島さんは十文字くんには目もくれず、なぜか私を凝視する。
「少し話を聞こうか。あぁ、むさくるしい君はいいから、篠崎さんだけで。こっち来て」
「はい……」
あっさり十文字くんは拒否されてしまい、私だけ手招きされる。
ボサボサ髪で清潔感のない姿が嫌われた?
やっぱりもう少しなんとかしなくちゃ。
私は十文字くんに〝そこで待ってて〟と目配せしたあと、中島さんに続いた。
彼は個室になっている座敷席に上がっていく。
「失礼します」