神様の教育係始めました~冴えない彼の花嫁候補~

動揺しすぎて背中をバンと叩くと、十文字くんが目をぱちくりしている。


「し、篠崎さん。僕、なにかやらかしましたか?」


人間のほうに戻った? 
都合が悪くなると隠れるのはずるいでしょ!


「な、なんでもないよ。仕事行こう、仕事」


そんな穢れのない透き通った目で見つめられては、あなたにキスされたのよ!なんて怒ることもできない。

私はとぼけて歩きだした。


「まったく、仕事中なのに。TPOってものがあるでしょ」


しかし、恥ずかしさのあまりぶつくさつぶやいてしまう。


「TPO、ですか。気をつけます」
「あぁっ、十文字くんのことじゃないから」


いや、あなたのことだけど。

この生活、ずっと続くの? 
どうなるんだろう、私。


「ほんとですか?」
「うん。ほら、しかめっ面しない!」
「はいっ」


社屋を出て彼と一緒に、晴れ渡る空を見上げた。
高天原に続いているだろう、空を。