それに、帰らないと言ったのはあなたじゃなかった?
「す、好きな女を守るんでしょ?」
こんな言い方、かわいくないとわかってる。
でも、帰らないでほしいと素直に言うのは照れくさすぎた。
「なんだ。俺の気持ちを受け止めるという意思表示か。それならさっさと嫁になれ」
「な、なに言って……」
もう一度求婚されて慌てふためく私は、ますます顔が真っ赤に染まっていることだろう。
「とりあえず、しとくか」
にやりと笑う彼が意味ありげな言葉をつぶやき、私の唇に触れる。
しとくって、まさかキスのこと?
唖然としている間に、軽く唇が重なる。
な、なにしてるの? ここ、会社でしょう?
焦りに焦り周囲を見回したが、私たち以外だれの姿もなくてホッとした。
いや、そういう問題ではない。
「ちょ、調子に乗らないで!」
「でも、俺が好きだと顔に書いてあるぞ」
「書いてない! 今、仕事中!」



