ため息が出るものの、彼らしくて笑ってしまう。
「すみません……」
「ま、一日一緒だから問題なし。ガイアの棚を取る勢いで頑張るよ!」
「はい!」
返事だけは一人前の彼と一緒に、玄関に向かう。
すると、スーッと黒い高級車が滑り込んできて停車し、待ち構えていた社員が後部ドアを開けた。
「あれって……」
「社外取締役の大塚(おおつか)さんです」
十文字くんがすらすらと答える。
たしか、以前は外資系コンサルタント会社で活躍していた人だったはず。
ドアを開けた社員、そして助手席から降りてきた秘書らしき男性と共にこちらに向かって歩いてきたので、十文字くんと一緒に横によけて会釈をした。
「あ……」
小さな声が出てしまったのは、重い空気を感じたからだ。
もしかして、もののけ?
彼らが目の前を通り過ぎると、嫌な感覚も遠のいた。
あの三人のうちのひとりに憑いている?
また、もののけに悩まされるの?



