とは言ったが、この役割を別の人にやらせるのもちょっと嫌だな。
「はい、仕事。十文字くんが休んでいる間に、ガイアビールが新商品のアピールを始めてるの。まずはこれを見て特徴を頭に叩き込んで。三分でよろしく」
「三分じゃ無理です!」
彼はブンブン首を横に振っている。
でも、やればできるのよ、あなたは。
「あと二分五十九秒……」
「え!」
「スパルタ教育始まった」
真由子がつぶやき、口元を緩める。
この冴えない彼が、実はすこぶる偉い神様だと知ったら、真由子はどんな顔をするだろう。
しかも、その神様にプロポーズされたと告白したら……。
「信じるわけないか」
「なんか言った?」
真由子に声を拾われて「なんでもない」と取り繕う。
一方十文字くんは、真剣に資料を読み進めていて反応すらしない。
「国産のホップにこだわりって……。国産って少ないですよね?」
「そう。ホップの生産地は北アメリカとヨーロッパがほとんどだからね。ちゃんと勉強してるね」



