それからしばらくは会話もなし。
昼食をファミリーレストランで済ませたあとは新規開拓の時間だ。
私たちはレストランから車で三十分ほどの串さとに向かった。
「串さとはガイア一筋だから、ビールは難しそうよね。で、サワーあたりから入ろうかなと思ってるの」
ガイアのラガーもエールも納入されているので、簡単に変えてくれるとは思えない。
ただ、サワー系は積極的に営業をかけているようには見えないこともあり、もしかしたらという可能性が十分にあると踏んでいる。
「ですが……」
彼は今朝から串さとの話を出すといい顔をしない。
「ねえ、新規開拓を恐れていては、実績は上がっていかないのよ。ノルマも結構きついんだから既存の店だけでは無理なの」
「……はい」
新規開拓は初めてではないのに、なにをそんなにためらっているのだろう。