厳しめに言ったが、本当は彼が頑張っていたことをよく知っている。
でも、ここは心を鬼にして続ける。
「それに、十文字くんが私に関わるから、余計にもののけが寄ってくるんじゃないの? 迷惑なの。もうあんな思いはしたくない!」
もちろん逆だと承知している。
私を狙ったもののけが現れるから、彼が来てくれたのだと。
しかし、自分のために彼が命をかけて戦いに挑むなんて、とても耐えられない。
「あやめ……」
十文字くんは目を丸くして私を凝視する。
けれども、しばらくすると天井を見上げて「わかった」と力なくつぶやいた。
「なにか食べられる? 昨日、食材買ってあるから夕飯作るね」
「うん」
私は努めて明るく振る舞った。
泣いてはダメだ。頑張れ、私。
必死に自分にカツを入れて立ち上がる。
これでいいんだ。
もう二度と会えないかもしれない。
でも、なんの力も持たない私には、彼の命を守るすべが他に思い当たらない。
こうするしかないのだ。



