「ケガが治ったら、高天原に帰るんでしょ?」
思いきって尋ねると、彼は目を大きく見開く。
「俺が戻ったらお前――」
「さっさと帰りなさいよ。私、十文字くんに出会ってから悪いことばっかりなの。足手まといの後輩の指導がうまくいかなくて課長に目をつけられるし、社内ではお母さんキャラが有名になって、イケメンが寄ってこなくなったし……」
もちろん、こんなことが言いたかったわけじゃない。
でも、スサノオの末裔だという彼は、私の護衛なんてしていないで本来いるべき場所で役立つべきだ。
高天原がどんなところかはよく知らないが、もっと神様らしい仕事があるはず。
こんな重傷を負わずとも、能力を発揮できる場所が。
「得意先のパートさんからは、『今日は十文字くんじゃないの?』ってあからさまにがっかりされるし。私が育ててきた得意先なのよ? ろくに営業もできないくせして、顔がいいってだけでおいしいところを持っていかないでよ」



