神様の教育係始めました~冴えない彼の花嫁候補~


見た目は黒髪のままだったが、神様のほうの十文字くんのようだ。


「だって……。こんな、ケガ……」


泣きすぎて言葉が詰まる。
すると彼は私の首のうしろに手を回して、強い力で私を引き寄せるので、彼の横に倒れ込んでしまった。


「あやめが責任感じることじゃねぇだろ。お前も被害者なんだ。それに、もう大丈夫だ」
「十文字くん……」


私はそれからしばらく彼の肩に顔をうずめて泣いていた。
自分がこんなに弱くて涙もろいなんて知らなかった。

でもダメだ。
私がしっかりしないと、彼は安心して高天原に帰れない。

こんなにひどいゲガまでして、私も周囲の人間たちも守ってくれたのだ。
私は笑顔で送り出さなくては。


私は彼から離れて起き上がり、両手で大雑把に涙を拭ったあと口角を上げる。


「ごめんね。ちょっと安心して気が抜けちゃった」


十文字くんの前で泣くのはもうおしまいにしよう。
そして、彼を私から解放してあげよう。