「こんなに寂しいなんてね……」
十文字くんが、いつの間にか私の生活の大きな部分を占めている。
それに、彼に指導するという大義名分はあったが、積極的に会話を交わすことで自分の仕事の方針を確認したり足りないところを自覚したりしていたのかもしれない。
十文字くんだけでなく、私も成長していたんだなと感じた。
その日は早めに仕事を切り上げて、神社に向かった。
銀くんからの連絡もないし、営業の合間に何度も十文字くんの携帯に電話を入れてみたが、まったく出ないので心配なのだ。
「銀くん」
玄関のドアをノックして銀くんを呼ぶと、彼はすぐに出てきてくれた。
「あやめ様!」
「十文字くんはどうかな」
「目覚めてミートソースを食べられましたよ」
「よかった」
昨日、病気ではないので食べられるかなと思い、彼の分も作って銀くんに託しておいたのだ。
「ただ、まだ臥せっています」
「そっか。お邪魔していい?」
「もちろんです。どうぞ」



