神様の教育係始めました~冴えない彼の花嫁候補~


「十文字くん、大丈夫なの?」

「うん。ちょっと風邪をこじらせたみたい。でも少し休めば大丈夫だって」


真由子が聞いてくるので、バレないように嘘をつく。


「そっかー。あの朝の儀式がないと寂しいね」
「ん? あぁ、そうね」


遅刻を心配し、ネクタイを整えて、寝癖直しスプレーをひと吹き。
十文字くんの教育担当になってから、毎日のように繰り返された光景のことだ。

世話が焼けるとぶつぶつこぼしてはいたが、なくなるのも寂しい。


「で、あやめも元気ないじゃん。あやめも体調崩したんだよね。うつされたんじゃない? もう平気?」

「私はぴんぴんしてる。ちょっと疲れがたまってただけで大丈夫」


自分も仮病を使ったことを忘れていた私は適当に返事をして、仕事に入った。


その日の予定にはなかったが、どうしても気になってリカーショップ米山に顔を出した。

米山さんはレジに立ち、忙しそうに働いている。