そういえばここに来たとき、稲荷神社は狐が祀られているわけではなく眷属だと聞いた。
「神使い……。それじゃあ、お父さんやお母さんは?」
「両親や祖父の話は、志季様と考えたただの設定です。嘘をついてすみません」
設定って、相当作り込んだのね。
「謝らなくても……。神様の話なんて信じてもらえないもんね」
「はい。私は神のお世話をするためにここにいるのですが、このお社は長らく神が不在だったんです。ようやく高天原から派遣されると聞き喜んだのですが、なにせ下りてこられたのが〝頑張らない〟がモットーのような志季様で、おまけに与えられた人間の姿がそれ以上に残念で、大変でした」
彼はため息をつき肩を落とす。
優秀な神がやって来ると期待したのに、平凡、いやそれ以下の神を押しつけられてがっかりだったのだろう。



