「そのたびに、志季様が追い払われていました」
デートをしたあとすぐに連絡が取れなくなるのは、十文字くんが撃退してくれていたからだったのか。
私の性格のせいではなかったんだ、とホッとしたものの、とにかく大きなダメージを受けた。
「しかし、大蜘蛛のような力を持った存在がうろうろし始め、常に近くにいたほうがいいと判断して、今の職場に」
ということは、十文字くんは私を守るためにエクラに入社してきたの?
「まあ、お賽銭の収入だけではご飯が食べられなくて、という事情もちょっと」
半分はお金のためだったと教えられて、神様にとっても世知辛い世の中だと知った。
「神であることに気づかれることなくお守りしなければならなかったのですが、人間の志季様の出来があまりに悪いためもどかしいこともあったようです。先ほども申しましたが、神の志季様は能力は高い方なので……」



