神様の護衛なんて考えたこともなかった。
「だけど十文字くん、ぐうたらしてて叱られたんじゃなかったっけ?」
そんな彼に重要な任務を押しつける?
「まあそうなのですが、潜在能力は高天原でも認められていますので、この修業を機に目覚めることを期待しておられるのかと」
やる気にならないだけでやればできるということか。
なんていったって、あのスサノオの血を引いているのだから。
「ちなみに、成人された頃から、もののけが増えませんでしたか?」
「なんで知ってるの?」
「成人すると餌としては成熟して、食べ頃になります。そんなあやめ様を上級のもののけに献上するために、男に憑いて近寄る者がたくさんいたかと」
男に憑いて? たしかに、二十歳を過ぎたらモテ期が来たけど、あれは全員もののけ?
そういえば、デートのときは決まって嫌な空気を感じていたような気もする。
次から次へと声をかけられて喜んでいたのに、全然モテてないじゃない。
ただの餌じゃない!
「最悪」
とんだ勘違いだった。脱力するくらいショックかも。



