「しかしそのようなことをされては困るイザナギをはじめとした神々は、イザナミが人にかけた呪詛を解きましたが、その一部が残ってしまい――」
「それが私?」
興奮して前のめりになる。
まさか、それほどややこしい話に巻き込まれているとは。
「はい。多くの神々の力をもってしても抑えきれなかったのです。あやめ様のような存在が、いつ生まれるかはだれにもわかりません。ただ、生まれ落ちた瞬間から、もののけや神の存在を感じることができるのが特徴で、もののけはそれに気づいて誕生を知ります」
つまり、幼少の頃わけもわからずもののけたちと交わした会話で、私の存在が知られてしまったということ?
「私の前に生まれた人はどうなったの?」
同じような立場の人がいたのなら、行く末を知りたい。
問いかけると、彼の表情が曇るので心臓が早鐘を打つ。



