神様の教育係始めました~冴えない彼の花嫁候補~

おかげで、そこらじゅうでもののけに遭遇するわ、死にそうになるわで、ろくなことがない。


「簡単に言えば、そういう血筋でいらっしゃるのですよ」
「血筋?」


でも両親はそんな話一度もしてくれなかった。


「はい。と申しましても、その血筋の方がすべてそうというわけではなく、むしろそんな能力を持って生まれることのほうが珍しいのですが」


「そう……」と返事はしたが、到底納得できるものではない。


「その昔、女神イザナミが亡くなり黄泉の国へと旅立ちました。夫であったイザナギは会いに行きましたが、醜く変化していたイザナミに恐れをなして逃げ出したのです」


唐突に神々の話を始めた銀くんに驚いたが、私は耳をそばだてた。


「黄泉比良坂(よもつひらさか)に大岩を置かれて道を塞がれ怒り狂ったイザナミは、毎日人を千人殺すと宣言しました。その際イザナミは、神とは異なり自由に中つ国――つまり地上と行き来できるもののけと手を組み、人を殺すように命じました。その代わり、食らうと不老不死になれる餌を与えようとしたのです」


前半はなんとなく聞いたことがあるが、もののけ云々は初耳だ。