「地上では、人間の〝十文字志季〟をうまく活用して振る舞うように命じられておりましたが、こちらも神の志季様と同様、決してできる人物とは言えずなかなかのポンコツで」
私はそこで無意識にうなずいていた。とても失礼だけど。
「ポンコツとぐうたらの相乗効果が発揮されてしまって、あやめ様もご存じの通りの言動の数々が……」
なかなか辛辣な発言だったが、面倒を見ている銀くんはそれだけ苦労しているのかもしれない。
「なるほどね。それで、修行って?」
「はい。実はあやめ様の護衛を任じられたのです」
「私の?」
驚いて大きな声が出る。
「はい。あやめ様は、特殊な存在。もののけが食らうと不老不死になれます」
不老不死になれるというのは本当なのか……。
嘘であってほしかったが、今までの様子からして間違いないのだろう。
「どうしてそんな運命を背負わないといけないのよ……」



