神様の教育係始めました~冴えない彼の花嫁候補~


ケガから予想はしていたものの、神様がビールを売っているなんてことある?


「長く高天原で暮らしておいででした。しかしなにもせずぐうたらした生活を送っていたので、アマテラスオオミカミに叱責されて、地上に蹴落とされ……いえ、修行に出されたのです」

「修行……。あの銀髪の人が、十文字くんであってる?」


尋ねると、彼はコクンとうなずいた。

しまった。
まさか本人だとは知らず、十文字くんに銀髪の彼が『かっこよかった』と口走ってしまった。


「志季様は地上に降りる際に人間の姿を与えられました。それはもののけと同じように神の姿は人間からは見えないからなのですが……」

「えっ。それじゃあ私が見えるのは普通じゃないってこと?」


銀くんはコクンとうなずく。


「あやめ様は特殊なのです」


私にはもののけも神様も見えるということか。
どうしてそうなったのかわからないが、事実なのだから納得するしかない。