神様の教育係始めました~冴えない彼の花嫁候補~


そのとき、ふと気がついた。

右頬、そして左腕って……。
あの銀髪の人と同じ場所をケガしてる?

でも、目の前に横たわるのは、黒髪のいつもの十文字くんだ。
とはいえ、ふたりが似ていると感じたのもまた事実。


「十文字くんってコスプレの趣味ある?」
「コスプレ、とは?」


銀くんには通じなかったようだ。

あの銀髪がウイッグだったのではないかと考えたが、どう考えても違う。

不思議な剣を操り、自由自在に飛び回って大蜘蛛をはじめとするもののけから私を守ってくれたもの。

ヘタレの十文字くんにそんなことができるはずもない。

でも、ケガの箇所が同じだなんておかしい。


「私、もののけから銀髪の男の人に助けてもらったの。たしか、スサノオの正統な子孫とか。スサノオってなんだっけ」


すっかり頭から飛んでいたことを思い出し、スマホで調べ始める。


「神様? 海原を治めるようにと指示されるも、母のイザナミを慕って泣いてばかりって、マザコンじゃ……」