神様の教育係始めました~冴えない彼の花嫁候補~


落ち着きをなくして慌てふためく銀くんが、十文字くんを隠すように前に立つ。

さっきから、なにを隠そうとしているの? 
見られたら困るの? 寝相が悪いのは、もう知ってるよ?


「寝込むほどひどかったんだね」


風邪かな?と思い、布団に近づいていったが、「あわわわ」と銀くんが小刻みに首を横に振る。


「え……。なに、これどうしたの?」


ようやく十文字くんの顔が見える位置まで行くと、右頬に大きなガーゼを当てて、はだけた――というか、もはやひっかけているだけになっている浴衣から、左肩を包帯でぐるぐる巻きにされている姿で横たわっていた。

下痢じゃなかったの?


「ケガ? 病院行かなくちゃ!」

「あぁっ、行きましたから。痛み止めを飲んで眠っているだけです」


それにしては痛々しい。


「どうしてこんなことになるの?」


仕事をしていたはずでしょう? 
会社に連絡したときも、事故の報告なんてなかったし。


「それは……」
「あれ?」