それでも途中の小さなスーパーで食材を買ったのは、十文字くんの体調も銀くんのことも気になるからだ。
人気のない道に路駐したあと石畳の階段を勢いよく駆け上がり、神様に一礼してお礼をする。
あのキーホルダーが私を守ってくれたのだとしたら、ここの神様には頭が上がらない。
それから社務所の玄関の前に立ったが、インターホンすらなくてトントンと引き戸を叩いた。
インターホンくらいつければいいのに。
浮世離れしすぎじゃないだろうか。
「はーい」
すると銀くんの声がする。
学校は?
「あ……」
彼は私を見て目を丸くした。
「十文字くん、お腹を下したって聞いて」
って、本当は自分の話を聞いてもらうために訪れただけだ。
下痢くらいでお見舞いに来たりはしない。
「あー、えっと……。ちょっと今は……」
「銀くん、食材買ってきたからご飯作るよ? お昼食べた?」
「まだです。どうぞ!」



