左肩に蜘蛛の脚が突き刺さり、ドクドクと大量の血が流れだしている。
「やめて。なんでこんな、ひどい……」
私は泣きながら声を振り絞った。
きっと彼はとっさに米山さんを避け、刺されてしまったのだろう。
米山さんは蜘蛛の糸に巻かれたまま横たわり、気絶しているように見える。
「くだらん温情なんてかけるからだ」
蜘蛛はそう吐き捨てると、ピクリとも動かない銀髪の男に向かって、もう一度脚を振り下ろそうとする。
「あなたの狙いは私でしょ?」
私はとっさに叫ぶ。
「私を食べれば不老不死になれるんでしょ? さっさと食べれば、誰にもやられなくなるわ」
この話が本当ならば、銀髪の男がいくら蜘蛛に剣を突き立てても殺せないことになる。
だからこそ逃げなくてはならないのだが、今、ふたりを救う手段が他に見当たらない。
「それもそうだな」
納得した蜘蛛は、私にターゲットを変えてきた。