銀髪の男がまた天に向かって手を挙げると、青白い稲光とともに天叢雲剣とかいう代物が降ってきた。


「それをひと振りすれば、この男はひとたまりもないだろうな」


米山さんの姿をした蜘蛛が不気味に言い放つ。

もののけを何十体、いや何百体も一撃で倒したあの剣ならば、米山さんはひとたまりもない。

大蜘蛛だけを倒したいのなら、前回のように分離させなければならない。

どうするの?

固唾を飲んで見守ることしかできない私は、呆然と立ち尽くしていた。


次に動いたのは蜘蛛のほう。
驚くべきことに米山さんの姿のまま、あの毛むくじゃらの脚を出して、ブンと振り降ろす。

銀髪の男は難なくよけ、その脚に剣を向けたところで止まった。
米山さんの腕が邪魔な場所にあるからだ。


「チッ」


大きな舌打ちをした銀髪の男は、一旦後方にポンと飛んで体勢を立て直す。
しかしすぐに向かっていった。


「あっ……」