「弱いものは死ねばいい」


そんなルール、勝手に決めないで! 
弱くたって必死に生きている人もいるの!


勝手な言い草にはらわたが煮えくり返るが、蜘蛛を前になにもできないのもまた事実だった。


不敵な笑みを浮かべる彼は、いとも簡単に近づいてきて私の首に手を伸ばしてくる。

『力が制御される』と言っていたが、上級のもののけにはこのキーホルダーも効果が薄いようだ。


「やめて……」
「終わりだ」
「嫌っ、助けて!」


彼の指が自分の首に食い込みそうになり、抵抗しながら必死に叫ぶ。

死にたくない。
あんな気持ちの悪い蜘蛛に食べられたくなんかない!


「離して!」


大声で叫んだ瞬間、ドンと大きな音がして私の首から手が離れた。


「あ……」


空間の天井に穴をあけて飛び込んできたのは、あの銀髪の男だった。

彼は米山さんの首のうしろに手刀を入れる。
すると深沢さんのときと同じように、また大蜘蛛が姿を現した。