「つべこべうるさい。おとなしく餌になればいいんだ」
彼はニヤッと口角を上げたかと思うと「押さえつけろ」と、周囲のもののけたちに低い声で命を下した。
「来ないで!」
私はカバンを抱えたまま声を振り絞る。
すごい勢いで数えきれないほどのもののけたちが近寄ってきたが、あと数十センチというところでピタッと止まる。
もしかして、キーホルダーの効果? こんなにすごいの?
「役立たずが!」
米山さんは唇を噛みしめて、下級のもののけたちに怒号をぶつける。
そして近くにいたサルのような顔をした者をむんずと捕まえたかと思うと、私に群がるもののけたちめがけて投げつけてきた。
すると、一瞬にして多数のもののけたちが消え去った。
まさか、殺したの?
「仲間なんでしょ?」
私を苦しめてきたもののけたちの肩を持つつもりはないが、自分に従わせておいてあっさり殺すだなんて、〝ゲス〟とか〝クズ〟という言葉がぴったりだ。