私はあとずさりながら必死に頭を働かせた。
最近もらったもの……。
あっ! 銀くんがくれたキーホルダー?
でもまさか、あの手作り感満載のキーホルダーに、もののけの力を制御する能力が備わっているとは思えない。
しかし、あの神社の神様の力が宿っているとしたら、絶対にこのカバンを渡してはならない。
私はカバンを胸の前で強く抱きしめた。
「米山さんを巻き込まないで」
「他人の心配ができるなんて余裕だな」
余裕なんてあるはずもない。
けれども、誰だって心が弱ることがあるのに、そこに付け込むなんて卑劣としか言いようがなく腹が立つ。
それに、特殊だという私の存在のせいで周囲の人が危険な目に遭うなんて耐えられない。
「あなた、蜘蛛?」
「いかにも」
やっぱりまだ生きていたんだ。
「私がなにをしたのよ……」
品行方正とは言い難くても、それなりに真面目に生きてきたつもりだ。
それなのに食らうと不老不死が得られるとか、わけのわからない役割を押しつけられて大迷惑している。