時間がないこともあり、重要な点をアピールしていく。
「なるほどね。たしかに最近、レモンサワーはよく出てるかも」
彼が相槌を打った瞬間、なぜか背中がゾクッとした。
気になりうしろを確認したがなにもいない。
でも、近くにもののけがいる気がする。
とはいえ、仕事を放り出して逃げるわけにもいかない。
「弊社はジュース造りのノウハウもありますので、レモンの果皮や果汁をたっぷり――」
「篠崎さん。最近、お守りのようなものもらいませんでした?」
「えっ?」
米山さんが私の話を遮り、妙なことを言いだした。
「お守りですか……。特に心当たりがないのですが」
「そうですか。力が制御されるのでお持ちかと」
力が制御されるって?と疑問に感じたところで、肌が粟立った。
まさか、米山さんに憑いてる?
私がハッとすると、彼はニヤリと笑う。
間違いない。
米山さんはこんな笑い方をしないもの。
「し、失礼します」