「へぇー。うちもサワーは置いてあるけど、ビールがメインだもんなぁ。サワーのコーナーを目立たせてアピールしてみるのもいいかもね。とりあえず、試飲させてくれない?」
「ありがとうございます。次回必ずお持ちします。……パンフレット、引き出しにしまっていただけますか?」
私は耳打ちする。
「そうだね。ガイアさんには内緒だね」
「お願いします」
アピールが済んだ私たちは、谷津さんと交代することにした。
もちろん今日の営業だけで入るとは思っていないし、試飲してもらってからが長い道のりだ。次の手を考えなければ。
「谷津さん、お待たせしました」
「篠崎さんでしたよね。岸田さんからうかがっています」
「はい。岸田がご迷惑をおかけしているのでは?」
真由子からは一緒に食事に行ったと聞いている。
「とんでもないです。仕事で疲れてしまって、慰めていただきました。同じ業界の方は話がわかって助かります」