なんて、いつもそうじゃないんだけど。
「なるほどね」
店長が腕組をして感心しているのでもう一押しだ。
チラリと十文字くんを見たものの、彼は固く口を閉ざしたままで会話に参加する様子もない。
「このお店から、そういう飲み方を広げませんか? 〝通も唸る〟みたいなキャッチフレーズをつけて、エールビールに合いそうなレシピも提供したら、食材まで売れて一石二鳥ですよ?」
とっさに考えついたことを提案すると、店長の眉が上がった。
「面白そうだね。他のスーパーではやらないことをやりたいんだよね」
「よろしければ、レシピはこちらでご用意します。魅力的な棚を作りますので、弊社の朱雀をエンドで展開していただけないでしょうか」
エンドというのは定番の棚の両端に位置する棚のことで、大きい通路に面しているので客の目に留まりやすい。
この場所を取れると、売り上げがかなり伸びるのだ。
「棚を作ってくれるの?」
「はい。十文字が得意ですので」