おやすみのあいさつをしたのに、彼は布団を三つ折りにして抱えた。


「こっちです」
「どこ行くの?」


なにをしているのだろうと思いながらついていくと、彼はさらに奥の襖を開けた。

そこには銀くんがお腹を出して眠っていて、その隣にもう一組の布団が敷いてある。
十文字くんが銀くんと一緒に寝ているのだろう。


「狭いですけど」


なんと彼は、銀くんの横に持ってきた布団を敷き始めた。
私にここで寝ろと?


「あっ。銀は寝相が悪いんで、こっちがいいですか?」


十文字くんの布団の隣を指さすので目を白黒させる。

いくら襲われる気がしなくても、あなたは一応男なのよ? 
並んで寝るのはさすがにまずい。

とはいえ、私ひとりでは怖がると判断したのだろう。
抜けているところはあるけれど、やはり優しい人だ。


「ううん。銀くんの隣でいいよ。かわいいもん」
「時々頭突きされますから気をつけてください」
「頭突き?」


そんなにハードなの?