「いえ、全然。篠崎さんが取られちゃうのが嫌だったんです。篠崎さんがいないと僕、どうしていいかわからないから」
「あはっ」
これぞ十文字くん。という答えだ。ある意味、百点満点。
でも、真由子にも明かせなかった話を聞いてもらえるのがありがたい。
「それで、どうしたんですか?」
「それが、きれいな銀色の髪をした男の人が突然現れて、あっという間にもののけたちを撃退してくれたの。大蜘蛛も一撃って感じで、すごく強かった。かっこよかった……」
蜘蛛のことは二度と思い出したくもないけれど、あの人にはまた会いたい。
『困ったら呼べ。来れたら来る』なんて口にしていたけど、また来てくれるだろうか。
そういえば、成熟した私を食べると不老不死になるとかなんとか話していた。
成熟というのがどんな状態なのかよくわからないけど、成人したという意味ならなんとなく思い当たるところはある。