「それは、怖いですね……」
しかし私より十文字くんのほうが口をひん曲げて、今にも泣きだしそうな表情になったので、冷静になれた。
しかも、私の話を疑う様子もなく耳を傾けてくれるので、告白する相手を彼にしてよかったと感じている。
助けてもらえる気はまったくしないけど。
「最近、襲われることが多いと思っていたら、深沢さんにその蜘蛛が憑依してたみたいで」
「憑依!」
さっき、銀髪の人と彼を重ね合わせたが、目が飛び出そうなくらい驚いている様子からしてやはり別人だ。
「それで、襲われそうになったの」
食らうだとかなんだとかいう部分はとりあえず黙っておいた。
そんなことを伝えたら、気絶しそうだもの、彼。
「そんな……」
「ねぇ。十文字くん、深沢さんに近づくなって言ってたじゃない? あれってもしかして、なんか危ないなってわかってた?」
ずっと気になっていたことを尋ねると、彼はブンブン首を横に振る。