「本当にありがとうございました。銀があんなにうれしそうな顔をするのを始めて見ました」
お茶を出してからお世話になるお礼を言おうとすると、彼に先に頭を下げられてしまった。
「オムライスくらいでそんなに感謝されても……。こちらこそ、突然お邪魔してごめん」
「僕は楽しいですよ」
彼が優しい笑みを浮かべるので、嫌々ではないとわかって安堵する。
「深沢さんとなにがあったんですか?」
当然の質問だ。
私は意を決して話し始めた。
「あのね、信じられないような話をしてもいい?」
「篠崎さんのことなら全部信じますよ、僕」
ありがたい返事に、肩の力が抜けていく。
「ありがと。実は……私、小さい頃からもののけが見えるの。舌の長い大きなカエルとか、薄気味悪い男の子とか、脚に毛がもじゃもじゃ生えてるこんな大きい蜘蛛とか」
両手を上げて大きさを示そうとしたが、先ほどの光景がフラッシュバックしてきて涙目になる。