大切なって。どんな話をしていることやら。
でもいやに礼儀正しい話し方で、小学生とは思えない。
主従ごっこの最中だから?
「十文字くん。もう少しちゃんとしたものを食べさせてあげたら? 作らなくても買ってこられるでしょ?」
さすがに晩ご飯にカップラーメンはいただけない。
「ごめんなさい」
「あっ、叱ってるわけじゃなくて。そうしたらどうかなーと」
弟の前で恥をかかせたらまずかったかもしれないと、慌てて言い方を変える。
「あやめ様が作ってくれればいいです」
「はいっ?」
私たちの会話に口を挟んできた銀くんは、ニッと笑ったあとまた黙々と食べ始めた。
それじゃあ完全にお母さんじゃない。
十文字くんは反応すらせず無言で食べ進めている。
なんだか不思議な兄弟だ。
ふたりともあっという間に完食したので、今度は後片付け。
台所で皿を洗い始めると十文字くんも来て手伝いだした。