「ちょうどできたよ」
私は二人分のオムライスをこれまた古びたちゃぶ台に運んだ。
家電は新しいのに、調度品は時代を感じるものばかり。
ミスマッチだが、おじいさんの頃から大切に使っているのかもしれない。
さすがに家電は壊れるので新調したのだろう。
「うわー。おいしそう」
銀くんの目がオムライスにくぎ付けだ。
「どうぞ」
「いただきます!」
勧めると、飛びついて食べ始めた。
「篠崎さんの分は?」
「私はさっき食べたから」
「でも、おいしそうですから」
十文字くんは自分のオムライスにスプーンを入れてひと口分すくったあと、私の前に差し出してくる。
「ん?」
「あーん」
「え……」
まさか、食べさせようとしているの?
銀くんにならまだしも、この歳になって「あーん」は恥ずかしいでしょ?
とはいえ、彼氏ができたらあこがれのシチュエーションではあるけれど。